古文ラブコメのすゝめ

みなさまはじめまして
Twitterで「ドイツ人が拾ったDEATH NOTE “DAS NOTE”」と呟いたら同期にぶっ叩かれた12期の若園です。いい感じにブログの内容が浮かんだので、つれづれに書いていこうと思います。(同期が書いている原稿が、ブログっぽいゆるさがあってとても良かったので、ガチガチな文章をゆるく書き直しました。それでもみたいなところはあると思いますが、最後までお付き合いいただけたら幸いです。)

さて、本題に入っていこうと思います。当たり前と言えば当たり前ですが、アニメには、もちろん“ジャンル”があります。日常・アクション・青春・コメディなどなどありますが、皆さまはどのようなジャンルがお好きでしょうか。個人的には、ラブコメが1番好きなのです。人の恋愛の様相を見ていると、こちらまでキュンキュンしてしまいます。最近放送されたもののなかでは、「トニカクカワイイ」と「彼女お借りします」がよかったのではないでしょうか。ラブコメを消費し、とうとう2次元に恋と愛を求めてさまよい歩く、“顔面dアニメストア君”のごとくなってしまった私ではありますが、最近、ニュータイプ的ラブコメを開拓いたしました。
そう、“古文”です。

はい。アニメ・漫画・ラノベに飽き足らずに、なぜ古典にまで進出してしまったのでしょうか。私は異世界転生に憧れた中二病のなれの果てなのでしょうか。しかし、古文と言えど、同じ日本人が書いたものなのだから、現代にも通ずる部分はあります。一方で、現代との相違点があるからこそおもしろいと感じることもあるのです。というわけで、古文ラブコメの魅力について、「落窪物語」を例にとってニチャニチャ語っていきます。

まず、古文ラブコメを発掘したきっかけですが、最近、「おちくぼ姫」(田辺聖子(著) 角川文庫)という本を買って読んだのが直接のきっかけです。「落窪物語」という平安期の物語をもとにした小説です。

それじゃあ「落窪物語」ってなんだってことですが、一言でいえば、シンデレラストーリーです。ヒロイン(落窪の姫)はたいそうな美人なのに、親が亡くなって、権力の後ろ盾がなく、引き取られた家の義母(北の方)の壮絶ないじめにあっちゃうのです。悲しい。しかし、一方的にいじめられるだけではなくて、貴族出身のイケメン(右近の少将)と恋仲になって、最後には救い出され、自分をいじめてきた北の方たちに多少のやり返しをします。(当時の日本は、貴族社会のことですから、親の権力がどれほどのものなのかによって、子供の身分も決まってしまうのでした。当然、身分が高ければ、それ相応の扱いを受けることができますし、逆もまたvice versa。親のいない落窪の君からすれば、生きづらいのです。)

さて、一般的とも言えるシンデレラストーリーの「落窪物語」のどこに現代ラブコメの要素があるのでしょうか。当時の結婚がどんなものであったかについて焦点を当てて説明してみたいと思います。

<恋愛結婚>
当時は貴族社会、かつ、親の身分によって子供の身分も決まってしまいましたが、身分を上げる方法もありました。
それは、結婚です。自分よりも身分の高い人と結婚をすることによって、自分自身、ひいては一族の身分を上昇させることができたのです。まあ、要はチートです。(偉い人と親戚になれば、自分も政治に参加できるようになるみたいなことです。藤原氏の摂関政治がいい例でしょうか。)
そういうわけで、親が決めた人と結婚することは多かったのです。もちろん、遊園地・食事・旅行だとか何回もデートを積み重ねて、相手のことをよく知ってからというわけではありません。あるにしても、手紙のやり取りを始めたのち、数日間相手の家に通うことで結婚するくらいでした。(「通い婚」と言って、男性が女性の家に3日連続で通って、結婚が成立するのです。夜中にこっそり女性の家にやってきては、朝帰りするのがしきたりでした。)
しかし、「落窪物語」では、これに逆張りする人間がでてきます。さきほどご説明した、いじめの主犯格「北の方」の末娘である「四の君」です。末娘だけあって、他の姉妹と比べるとかなり若いのですが、その若さというか幼さゆえに、貴族の結婚のしきたりがあまりよく理解できていないのです。それだから素直に「自分の好きじゃない人と結婚するのは嫌だ」みたいなことを言ってしまうのです。
いわゆる現代的な“恋愛結婚”に憧れを抱くのは、いつの時代も変わらないということなのでしょうか。自分の意思とは関係ない人と結婚する貴族社会の風潮のなかにありながらも、「自由に恋愛をしたい」と素直に思う、それはやはり普通のことなのでしょうか。そういうところにとてもキュンキュンします。「俺がお嬢様学校に『庶民サンプル』として拉致られた件」に登場する、有栖川麗子みたいなことなのです。
(この「四の君」、実は「北の方」の計画では、主人公の「右近の少将」と結婚させる予定だったのですが、「右近の少将」は機転を利かせたことで、それを回避、かわりに「兵部の少輔」という主人公の親戚と結婚させることに成功させます。「兵部の少輔」は、もともと「四の君」に好意を寄せていたのでばんばんざい。当の「四の君」も「兵部の少輔」の内面に惹かれて、幸せな結婚になったそうです。主人公とメインヒロインだけでなく、周りの人物たちも恋愛結婚していくところが、ほんとうにポイント高いです。)

<一夫多妻制への逆張り>
また、当時の日本は、「一夫多妻制」が当たり前でした。つまり、キリトなのです。当時の日本の男性貴族はキリトばっかりなのです。正妻がいながらも、次々と女性をブイブイ言わせては、妻に迎え入れてしまうのです。
しかし、またしても「落窪物語」に登場する「落窪の君」は、この流れに逆らってしまいます。もう、本当に、登場人物たちは時代の流れに逆らい続けるので、逆張りオタク君に近い何かを感じてしまいます。簡単に言えば、「落窪の君」は一夫多妻制のもとで“多くの妻の中の1人”として愛されるのではなくて、“ただ唯一の妻”として愛されることを望んだのです。当時としては本当に珍しいです。「私1人だけを愛して!」ってことなんですね。独占欲が強くて、もう本当に、ああ、尊い。こんなこと言われてみたいです。時代の流れに反して自分だけを愛してもらうことを条件に、右近の少将と結婚するのです。キュンキュンしてしまいます。

「落窪物語」以外にも、古文ラブコメはいっぱいあるので、読書リスト代わりに書いとこうと思います。
とりあえず鎌倉期の「住吉物語」あたりをあげときます。「落窪物語」を模した作品なので構成はだいたい同じです。
あとは、「とはずがたり」ですかね。鎌倉時代の後深草院二条という女性が、実体験をもとに書いた作品です。恋人との関係だとか旅のことだとかが記されています。退廃的な生活を描いていて、メッチャ…らしい。次はこれを読もうと思ってます。

簡単ではありましたが、古文ラブコメは理解していただけたでしょうか。現代のアニメ・漫画・ラノベにひたるのも良いですが、たまには日本人のルーツを辿りに行くなんてことも面白いと思います。ご自分の目で確かめてみるのが良いと思うので、ぜひ「おちくぼ姫」(田辺聖子(著) 角川文庫)を購入して読んでみてください。500円くらいで、なおかつ本自体もあまり厚くないので、読みやすいです。

今回はこんな感じで終わりにしようと思います。これからは、ニチャニチャした文章は控えて、もっとゆる〜くやっていこうと思います。

次に投稿予定の人は、12期をギスギスさせるのが得意なフレンズです!
お楽しみに!